<内訳>
患者会 42家族49名
製薬会社 71名
医療関係者 12名
一般 5家族6名
演者、座長、スタッフ 13名
Zoom:最大60名
YouTube:
前半 再生回数のべ79回、同時視聴19名
後半 再生回数のべ57回、同時視聴17名
全国尿素サイクル異常症患者と家族の会
NPO法人 全国ポンペ病患者と家族の会
Fabry NEXT
みどりの会
ひだまりたんぽぽ
日本ニーマン・ピック病の会
小児神経伝達物質病家族会
日本ゴーシェ病の会
ミトコンドリア病患者・家族の会
ニーマンピック病C型患者家族の会
mitochon MCM
PND家族会
MSUDの会(メープルシロップ尿症の会)
日本ライソゾ―ム病患者家族協議会
ニーマンピック病患者家族会
PKU親の会
JaSMIn
2022年1月29日(土)、第8回先天代謝異常症患者会フォーラムが開催されました。昨年に引き続き、WEB配信形式(Zoom/YouTube)での開催となりました。
講演に先立ち、日本先天代謝異常学会理事長の奥山虎之先生(国立成育医療研究センター)よりご挨拶がありました。8回目を迎えた本患者会フォーラムが、当初は患者登録の重要性を患者さんに理解していただくために始まったものでありながら、現在は学会にとっても患者さんとの結びつきに欠かせない会となっていること、また、昨年は在宅酵素補充療法の正式な承認を得ることができ、学会としても今後はより患者さん・ご家族のケアに力を入れていく方向であることをお話いただきました。
奥山 虎之 先生(国立成育医療研究センター)
講演1「COVID-19と先天代謝異常症」
酒井 規夫 先生(大阪大学)
講演2「福岡県でのライソゾーム病新生児スクリーニング」
井上 貴仁 先生(福岡大学筑紫病院)
【座長】村山 圭 先生(千葉県こども病院)
最初の講演は、酒井規夫先生(大阪大学)から「COVID-19と先天代謝異常症」という演題でお話いただきました。感染症に関する基本的な知識や、これまでに分かっているCOVID-19に関する情報を詳細に解説いただき、さらに、海外で報告されているライソゾーム病患者さんにおけるCOVID-19の状況などについてもご紹介いただきました。質疑も通して、改めて感染予防行動の重要性について参加者のみなさまと共有いたしました。
酒井 規夫 先生(大阪大学)
続いて井上貴仁先生(福岡大学筑紫病院)から、「福岡県でのライソゾーム病の新生児スクリーニング」という演題でお話いただきました。ライソゾーム病、特にファブリー病を取り上げ診断の問題点や早期診断と早期治療の重要性についてご解説いただき、実際に先生方が取り組んでいる新生児スクリーニングについて、2007年にパイロットスタディを開始以降、対象の疾患と地域を拡大してきた実績をご紹介いただきました。今後も「治療可能なライソゾーム病を発症前に発見して、障害発生を予防・軽減する」ことを九州・福岡から全国に拡げていきたいというお話をしていただきました。なお、ホームページを設営し情報発信を行っているとのことでご紹介をいただきましたので、ご興味のある方は以下よりご覧ください。
井上 貴仁 先生(福岡大学筑紫病院)
講演3「先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)の最新報告」
山下 和香奈(国立成育医療研究センター)
講演4「小児在宅医療における先天代謝異常症 ―在宅での酵素補充療法を含めて―」
児玉 一男 先生(医療法人財団はるたか会 あおぞら診療所新松戸)
【座長】中村 公俊 先生 (熊本大学)
続いてJaSMIn事務局から、先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)の最新状況についてご報告させていただきました。患者登録事業を開始し今年で9年目となり、最新の登録状況とともに、JaSMInを活用した調査研究が新薬開発に貢献した例も挙げ、改めて登録制度維持の重要性についてお話させていただきました。今後もみなさまとの繋がりを大切に、JaSMInの運用を続けてまいります。
山下 和香奈(国立成育医療研究センター)
休憩を挟み後半最初の講演は、児玉一男先生(医療法人財団はるたか会あおぞら診療所新松戸)による「小児在宅医療における先天代謝異常症―在宅での酵素補充療法を含めて―」でした。小児在宅医療が必要となった背景、はるたか会が全国で拡大してきた活動の状況と在宅医が担う役割、“医療的ケア児支援法”など現在の在宅医療を取り巻く状況について解説していただきました。また、実際の小児在宅医療の現場について、在宅での酵素補充療法の手順や利点・課題などを大変具体的にご紹介いただきました。
児玉 一男 先生(医療法人財団はるたか会 あおぞら診療所新松戸)
講演5「2021 日本先天代謝異常学会(名古屋)見て歩き」
高柳 正樹 先生(帝京平成大学)
講演6「呼吸器の子 重い障害を生きる意味」
松永 正訓 先生(松永クリニック小児科・小児外科)
【座長】高柳 正樹 先生(帝京平成大学)
続いて高柳正樹先生(帝京平成大学)から、2021年11月4日~6日に名古屋会場(ウインクあいち)とWEBのハイブリッド形式で開催された、第62回日本先天代謝異常学会学術集会についてご報告いただきました。集会中のシンポジウム『先天代謝異常症に対する新しい治療戦略』で発表のあった数々の最新の治療法開発について、キーワードを挙げて概要をご紹介いただき、「新しい治療法の芽がたくさん出てきているということが頼もしい」とコメントされました。
高柳 正樹 先生(帝京平成大学)
本フォーラム最後の講演は、医師としてクリニックを経営する傍ら、文筆活動も行っておられる松永正訓先生(松永クリニック小児科・小児外科)による、「呼吸器の子 重い障害を生きる意味」でした。
松永先生ご自身が長く関わってこられたあるお子さんとそのご家族について、発症から在宅人工呼吸器の導入、現在までの生活の歴史を、その時々のご家族や関わる方々の言葉を交えてじっくりとご紹介いただきました。そして、関わりを通した「【自立】と【共生】は一見相反するがお互いに支え合った言葉である」といった気付きや、障害児の家族が進んでいくステップなどについてお話いただきました。さらには松永先生が考えるこれからの時代における幸せ、そのためにどう価値を転換していくか、といった内容についてもお話いただきました。
講演後の質疑でも、障害児・家族にとって支援の手は多ければ多いほうがいいということや、共生社会への障壁を取り払うためにまずは我々自身が変わり、地道な発信を諦めずに続けていかなければならない、といった、多くの力強いお言葉を頂きました。
参加者からは、チャットを通じ「感銘を受けました」「重い障害があっても幸せに生きられることを知らせてくださってありがとうございます」「生きるとは何か、障害とは何か、自立とは何か…深く考える機会をいただきました」といった感想が数多く寄せられました。松永先生からの力強く温かいメッセージを受け、参加者全員が同じ思いを共有しているように感じられた時間でした。
松永 正訓 先生(松永クリニック小児科・小児外科)
最後に、高柳先生より閉会のご挨拶がありました。松永先生のご講演を受けて、これから社会を少しでも変えられるように、みんなで頑張っていきたい、とお話され会が締めくくられました。
以上、第8回先天代謝異常症患者会フォーラムが、盛況のうちに閉会しましたことをご報告いたします。演者・座長の先生方、運営にご尽力いただいたフォーラム事務局の皆様、そしてご参加いただきました皆様へ、改めて御礼申し上げます。
全文PDFは以下よりダウンロードできます。