第3回先天代謝異常症患者会フォーラム(2014年11月9日@品川)
第3回先天代謝異常症患者会フォーラムは、おかげさまで約150名の方にご参加いただき、盛会のうちに終わることが出来ました。
ご参加いただきありがとうございました。
テーマ:お互いの状況を知り合い、より良い未来に向けて手をつなぎましょう
日時:2014年11月9日(日)10:00~16:00
場所:TKPガーデンシティ品川 ボールルームイースト
第3回先天代謝異常症患者会フォーラムは、【第1部】患者登録制度と登録情報の利用(1)、【第2部】患者登録制度と登録情報の利用(2)、【昼食】意見交換会(ラウンドテーブルディスカッション)、【第3部】先天代謝異常症臨床情報バンク『(旧)MC-Bank』 解析結果報告(ポスターセッション)、【第4部】総合討論&みんなでリラクゼーションという5部構成で開催されました。
第3回先天代謝異常症患者会フォーラムでは、3つの新たな試みが行われましたので、最初にご紹介させていただきます。
1つ目が、インターネットによる生中継です。過去2回のフォーラムは東京で行われたため、遠方の方には参加しづらくなっておりました。そこで今回は、事前にご登録頂いた方に対してインターネットによる生中継をご提供させていただきました。
2つ目が、昼食時のラウンドテーブルディスカッションです。今まで2回のフォーラムでは、昼食は自由に意見交換を行う場として活用していただいておりましたが、今回は事前に決められたテーマの中から興味のあるテーマをお選びいただき、医師と患者さんや企業の方々が偏りなくご着席頂けるようテーブルわけを行い、より具体的かつ活発なディスカッションができるよう試みました。
3つ目が【第4部】で行われた、みんなでリラクゼーションの時間とフォーラム中にブースを設置してご提供いただいたアロマハンド&ヘッドケアです。何か会場が一体になって行えてリラックスできるものや、ほっと一息つけるものを、という願いから実現いたしました。アロマハンド&ヘッドケアは、「一般社団法人あなたらしく今を生きよう」さまにご協力いただきました。
【第1部】患者登録制度と登録情報の利用(1)
【第1部】患者登録制度と登録情報の利用(1)、では、座長に長谷川有紀先生(島根大学)と濱田悠介先生(大阪大学)をお迎えし、先天代謝異常症患者登録制度JaSMInの今後の展望と登録情報を活用した研究について、3名の先生にご講演頂きました。
大竹明先生(日本先天代謝異常学会「患者登録委員会」委員長/埼玉医科大学)からは、「先天代謝異常症患者登録制度『JaSMIn&MC-Bank』-登録の意義と今後の展望について-」という演題で、研究班として行われてきたJaSMIn&MC-Bankの現在までの状況と、今後日本先天代謝異常学会の委員会として運用していく展望についてお話しいただきました。
奥山虎之先生((独)国立成育医療研究センター)からは、「ムコ多糖症登録情報の利用『Brain-Hunter Project』-ムコ多糖症II型の中枢神経症状に対する新規治療薬の開発-」という演題で、ムコ多糖症II型の現在の治療法と限界についてご説明頂いた後、今後予定している登録情報を活用した臨床試験の概要についてお話しいただきました。
清水教一先生(東邦大学医療センター大橋病院)からは、「ウィルソン病登録情報の利用」という演題で、ウィルソン病のMC-Bank登録情報を解析した結果明らかになったことについて、今後の課題や対策を含めてお話しいただきました。
【第2部】患者登録制度と登録情報の利用(2)
【第2部】患者登録制度と登録情報の利用(2)、では、座長に遠藤文夫先生(熊本大学)と朝美あゆみさま(全国尿素サイクル異常症患者と家族の会)をお迎えし、引き続き登録情報を活用した研究について国内外の状況を3名の先生にご講演頂きました。
松本志郎先生(熊本大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター)からは、「登録制度を利用した新規薬物研究の取り組み」という演題で、メチルマロン酸血症を例に、新規治療薬開発のための薬剤スクリーニングの基礎についてご説明頂いた後、先天代謝異常症の新規治療薬の研究状況や臨床試験の詳細等、最先端の情報をご提供頂きました。
櫻井謙先生(東京慈恵会医科大学)からは、「ファブリー病と副腎白質ジストロフィーのアンケート調査により判明した早期診断の問題点」という演題で、ファブリー病と副腎白質ジストロフィーのMC-Bank登録情報を解析した結果明らかになったことについて、早期診断とそのために必要な医療者、一般の方々への啓発の観点からご講演いただきました。
早田悟さま(グラクソ・スミスクライン株式会社)からは、「新薬の開発における患者登録情報の活用―海外の状況と患者会の役割-」という演題で、製薬会社の視点から見た希少疾患における新薬開発の難しい点と、その基盤整備のための患者レジストリの重要性について、海外の状況を踏まえつつご講演頂きました。
【第3部】先天代謝異常症臨床情報バンク『(旧)MC-Bank』 解析結果報告
【第3部】先天代謝異常症臨床情報バンク『(旧)MC-Bank』 解析結果報告(ポスターセッション)では、MC-Bankで対象となった18疾患の登録情報の解析結果についてそれぞれ先生方にポスターを作成していただき、ロビーに展示、自由に閲覧・質疑応答・情報交換を行っていただきました。
【第4部】総合討論&みんなでリラクゼーション
【第4部】総合討論&みんなでリラクゼーション、では、座長に奥山虎之先生((独)国立成育医療研究センター)、高柳正樹先生(千葉県こども病院(現)帝京平成大学)、柏木明子さま(PA-MMAの会/先天代謝異常症のこどもを守る会)、川元正司さま(日本ムコ多糖症患者家族の会)、本間りえさま(NPO法人ALDの未来を考える会/A-Future)をお迎えし、リラクゼーションを行った後、総合討論を行いました。
リラクゼーションでは、一般社団法人あなたらしく今を生きようの皆様のご指導の下、患者さんや企業の方々、医療者など会場全体がひとつになってリラクゼーションを行い、心も身体もリラックスすることができました。その後の総合討論でも、会場やWEB参加者からの質問に対して、活発な意見交換が行われました。
フォーラム後のアンケート
フォーラム後のアンケートには、67名(スタッフを除く:48.9%)の方にご協力いただきました。一番興味のあった演題について尋ねたところ、「先天代謝異常症患者登録制度『JaSMIn&MC-Bank』-登録の意義と今後の展望について-」、「登録制度を利用した新規薬物研究の取り組み」、「新薬の開発における患者登録情報の活用―海外の状況と患者会の役割-」(順に、46.3%、32.8%、26.9%)を選択される方が多く、登録事業と新薬開発に関心がある方が多いことが伺えました。次回の患者会フォーラムで取り上げてほしいテーマについて尋ねたところ、「最新治療に関する情報」、「研究や治療に関する国内及び海外の情報」「登録事業に関する内容」(順に、55.2%、55.2%、43.3%)を選択される方が多く、今までのフォーラム内容と同様に、最新の治療や研究についての情報を求められる方が多いことが伺えました。WEB中継については、遠方や子育て・介護等外出が難しい方でも参加できてよかったというご意見が多く、次回以降の継続を希望されていました。また、昼食のディスカッションについては、情報交換や悩みなどについて話せてよかったと書かれている方がいる一方、深い話が出来なかった、他のテーブルでも話したかったというご意見もあり、次回以降の課題となりました。
ご講演者の皆様、登録制度を活用したより良い先天代謝異常症の医療にむけた課題と期待の持てる心強いご講演をいただき誠にありがとうございました。また、お忙しい中ご参加いただきました皆様にも心より感謝申し上げます。
※講演者の所属は第3回先天代謝異常症患者会フォーラム当時のものです