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患者会フォーラムレポート

第2回先天代謝異常症患者会フォーラムレポート

2013.08.11

第2回先天代謝異常症患者会フォーラム(2013年8月11日@品川)

 

第2回先天代謝異常症患者会フォーラムは、おかげさまで約120名の方にご参加いただき、盛会のうちに終わることが出来ました。ご参加いただきありがとうございました。

 

テーマ:先天代謝異常症の最新治療と患者会の役割
日時:2013年8月11日(日)10:00~16:00
場所:TKPガーデンシティ品川 グリーンウィンド

 

第2回先天代謝異常症患者会フォーラムは、【第1部】患者登録制度の構築と運用、【第2部】最新治療情報:遺伝子治療とシャペロン療法、【第3部】患者会の活動と役割、という3部構成で開催されました。

 

【第1部】患者登録制度の構築と運用

【第1部】患者登録制度の構築と運用、では、座長に遠藤文夫先生(熊本大学大学院生命科学研究部小児科学)と清水教一先生(東邦大学医療センター大橋病院小児科)をお迎えし、日本で行われている希少疾患の患者登録制度について、3名の先生にご講演頂きました。

 

徐朱玹先生(国立成育医療研究センター臨床検査部)からは、「先天代謝異常症患者登録制度『JaSMIn&MC-Bank』」という演題で、現在行われている2つの先天代謝異常症患者登録制度であるJaSMInとMC-Bankについて、その違いと概要、登録状況などをお話しいただきました。

 

木村円先生((独)国立精神・神経医療研究センターTMC)からは、「希少疾患の登録は重要です:神経筋疾患患者情報登録Remudyから」という演題で、神経筋疾患患者情報登録Remudyについて、概要と現在の登録情報、臨床試験に向けた国際レジストリーとの関係などをお話しいただきました。
今井耕輔先生(東京医科歯科大学小児科)からは、「原発性免疫不全症患者電子医療記録“Pier(ピアー)”の構築」という演題で、詳細な患者情報の登録だけでなく、SNSのように患者と主治医、研究者がコミュニケーションをとることができるPierの概要についてお話しいただきました。

 

 

 

【第2部】最新治療情報:遺伝子治療とシャペロン療法

【第2部】最新治療情報:遺伝子治療とシャペロン療法、では、座長に酒井規夫先生(大阪大学大学院医学系研究科小児科学)と大竹明先生(埼玉医科大学小児科)をお迎えし、現在研究中の治療法など、最新の治療について2名の先生にご講演頂きました。

 

大橋十也先生(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター小児科)からは、「先天代謝異常症の遺伝子治療」という演題で、遺伝子についての基礎的なご説明と、現在の遺伝子治療研究の実情、実際に遺伝子治療を受けた副腎白質ジストロフィー(ALD)の男の子の症例についてお話しいただきました。

 

檜垣克美先生(鳥取大学生命機能研究支援センター遺伝子探索分野)からは、「ライソゾーム病に対するシャペロン療法」という演題で、シャペロン療法の原理についてのご説明と、GM-1ガングリオシドーシス、ゴーシェ病III型、ムコ多糖症II型に対するシャペロン療法の研究状況と結果、さらに10疾患以上の先天代謝異常症でシャペロン療法の研究が行われているという現在の状況についてお話しいただきました。

 

 

 

【第3部】患者会の活動と役割

【第3部】患者会の活動と役割、では、座長に高柳正樹先生(千葉県こども病院小児救急総合診療科)と新宅治夫先生(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学)をお迎えし、患者会の代表の方4名に、それぞれの患者会の活動などについてご講演頂きました。

 

丸山節子さま(認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク)からは、「難病のこども支援全国ネットワークの活動とピアサポート」という演題で、子どもの難病の特徴とそれに伴う困難、ピア・サポーターの育成とその活動状況についてお話しいただきました。

 

本間りえさま(NPO法人ALDの未来を考える会/A-Future)からは、「ピアカウンセリングをはじめて」という演題で、今までのご経験とご自身が実際にピア・サポーターとして活動されて感じられたことについてお話しいただきました。

 

藤原和子さま(PKU親の会連絡協議会)からは、「中国PKU連盟との交流」という演題で、中国のフェニルケトン尿症の患者団体との日中両方の場での交流についてお話頂きました。

 

川元正司さま(日本ムコ多糖症親の会)からは、「MPS国際ネットワークミーティング日本開催」という演題で、各国のムコ多糖症患者会の代表が集まる会議を日本で開催するための準備と実際の会議の様子についてお話頂きました。

 

 

フォーラム後のアンケート

フォーラム後のアンケートには、61名(52.1%)の方にご協力いただきました。一番興味のあった演題について尋ねたところ、「先天代謝異常症患者登録制度『JaSMIn&MC-Bank』」、「希少疾患の登録は重要です:神経筋疾患患者情報登録Remudyから」、「難病のこども支援全国ネットワークの活動とピアサポート」(順に、49.2%、42.6%、42.6%)を選択される方が多く、登録事業に関心がある方が多いことが伺えました。次回の患者会フォーラムで取り上げてほしいテーマについて尋ねたところ、「最新治療」、「患者会活動」「海外の研究や治療」(順に、55.7%、50.8%、42.6%)を選択される方が多く、今回のテーマの継続した情報提供を希望される方が多いことが伺えました。また、ご意見としては、「登録事業の継続的な運営の希望」「他地域での開催やネット中継の希望」等が書かれており、次回以降の課題となりました。

 

ご講演者の皆様、より良い先天代謝異常症の治療や家族の生活に結び付く貴重なご講演をいただき誠にありがとうございました。また、お暑い中ご参加いただきました皆様にも心より感謝申し上げます。

 

※講演者の所属は第2回先天代謝異常症患者会フォーラム当時のものです

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