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JaSMIn通信特別記事No.87

2025.09.12

日本先天代謝異常学会 患者登録委員会 新委員

自己紹介記事「石毛 美香(いしげ みか)先生」


                                                                                                                   

氏名:石毛 美夏 

所属:日本大学医学部小児科学系小児科学分野 日本大学病院小児科

趣味:お茶を楽しむこと、旅行の予定をたてること

専門分野:先天代謝異常症、新生児マススクリーニング、遺伝相談

 

<患者・家族へのメッセージ>

 日本大学病院の石毛美夏と申します。日本大学病院は東京駅から電車で2駅という非常に便利な立地と、大学病院で受診年齢の制限がないことから、新生児マススクリーニング検査等を契機に受診される新生児から他の病院で診断されて進学や就職を契機に上京された成人の方まで、多くの先天代謝異常症の患者さんが通院されています。中でも特に多いのが、今回私が患者登録委員を担当させていただくフェニルケトン尿症(PKU)です。PKUの患者さんやご家族は、待合室で顔見知りになることも多く、また各地区にある「PKU親の会」や連絡協議会などの患者会活動を通じて、患者さん同士の交流や情報交換が行われています。

 診断を受けたばかりで不安の強いご家族にとって、同じ病気の子どもやご家族との出会い、経験に基づいた情報は、心強い支えになることが少なくありません。一方で、すべての疾患に患者会があるわけではなく、あってもまだ参加する気持ちになれない方もおられます。また、近年は稀な病気でもインターネット等で多くの情報が得られるようになった反面、あふれる情報の中から正しく適切なものを見極めることが難しく、かえって不安が増してしまうこともあります。そのような中で、この「先天代謝異常症患者登録制度(JaSMIn)」は、信頼できる医療情報にアクセスできる仕組みとして、大きな意味を持つと感じています。診断されたばかりのご家族にとって、少しでも不安を和らげ、前向きに診断や治療に向き合うきっかけとなることを願っています。さらに、先天代謝異常症は成人後も継続して治療が必要な場合も多く、ご本人が自ら病気について正しく理解し、治療方針について主体的に選択していくことが重要になります。患者登録制度を活用することで、必要な情報にアクセスしやすくなり、自立や就労といったライフイベントへの準備にもつながると考えています。

 この制度が、患者さんご本人とご家族のよりよい治療と生活の一助となるよう、尽力してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

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JaSMIn通信特別記事No.87 (石毛先生)