テーマ:お互いの状況を知り合い、より良い未来に向けて手をつなぎましょう
日時:2018年2月25日(日)10:00~16:00
場所:TKP品川カンファレンスセンター
2018年2月25日、TKP品川カンファレンスセンター バンケットホール4Jにて開催された第5回先天代謝異常症患者会フォーラムにJaSMIn事務局が参加いたしました。
開会に先立ち、患者会フォーラム実行委員会の委員長高柳正樹先生(帝京平成大学)よりご挨拶と今回の開催に至るまでの経緯のご説明がありました。高柳先生のお人柄が感じられる温かい、そしてユーモアのあるお言葉に会場の緊張感がほぐれました。
最初の講演は秋山奈々先生(千葉県こども病院遺伝カウンセラー)の「先天代謝異常症における遺伝カウンセリング」でした。まだまだ一般的に馴染みのない、遺伝カウンセリングについて、私たちがより身近に感じられるような、分かりやすい言葉でご説明いただきました。次の講演は高柳正樹先生の「平成29年度日本先天代謝異常症学会 見て歩き―新しい治療法どうでしょう―」でした。最新の学会で発表された治療方法を疾患別にご紹介いただきました。
昼食休憩後の最初の講演は中村公俊先生(熊本大学小児科)の「先天代謝異常症診療ガイドラインについて」でした。難病指定を受けるために必要となるガイドラインについて、その重要性と今後の展望を丁寧にご説明いただきました。続いての講演は河野司先生(千葉県こども病院医療ソーシャルワーカー)の「社会的資源をうまく使うには」でした。実例をもとに、生活上の選択肢はひとつではなく複数あるということ、また、人が制度に合わせるのではなく、人に合わせた制度利用を行う重要性について、ご説明いただきました。
コーヒーブレイクを挟み、本日5番目の講演は奥山虎之先生(成育医療研究センター)の「第8回国際協力遺伝病遺伝子治療フォーラム報告―先天代謝異常症への遺伝子治療はどこまで進んだか―」でした。最新の遺伝子治療とその将来性について、分かりやすくご紹介いただきました。続いて、本フォーラム最後の講演はJaSMIn事務局の徐朱玹(成育医療研究センター)の「JaSMInの取り組みについて」でした。JaSMInの必要性とこれまでの歩みそして今後の展望について、お話させていただきました。講演後の質疑応答では、現在JaSMIn事務局から登録患者様に向けて配信しているJaSMIn通信について、「登録患者だけに配信するだけではもったいない。もっと広く世間に配信することはできないか」というご意見をいただきました。頂戴したご意見を受けて、JaSMIn事務局では、これからどのような方法で配信先を拡大するか、前向きに取り組んでまいります。
各講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、活発な意見交換が行われました。全部で15件の質問があがったのですが、そのうち3件の質問はインターネット参加の方からのご質問でした。パソコン、スマホ、タブレットでリアルタイムに聴講および質問ができる、ということは大変素晴らしいと感じました。
また、今回は会場の隣のお部屋に保育スペースがあり、お子様連れでも安心してご参加できる体制となっていました。中村先生が講演中に「小児科医は子供の声を聞くと元気がでる」とおっしゃった時、会場にいた全員が同じ思いでいることを強く感じました。
最後に、高柳先生から閉会のご挨拶がありました。高柳先生からは「我々の共通の敵は病気であり、その敵に負けないよう、この場にいる全員が互いの状況を知り合い、より良い未来に向けて手をつなぎあうことのできる、患者会フォーラムを今後も続けていきましょう」という力強いお言葉をいただきました。先生方の巧みな話術と参加者の熱意で盛り上がった第5回先天代謝異常症患者会フォーラムが、盛況のうちに閉会しましたことをご報告いたします。