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新型コロナウィルス感染拡大に伴う 緊急事態下のライソゾーム病酵素補充療法についての提言

作成日:2020.05.11

2020年5月11日

 

「新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態下ライソゾーム病酵素補充療法についての提言」

 

厚生労働科学研究難治性疾患政策研究事業

「ライソゾーム病、ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィ―を含む)における

良質かつ適切な医療の実現に向けた体制の構築とその実装に関する研究 」

研究代表者 奥山 虎之

 

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、酵素補充療法の継続が困難な状況になっています。難治性疾患政策研究事業のライソゾーム病研究班では、緊急事態下における酵素補充療法に関して以下のように提言します。

 

(1)酵素補充療法を行っている患者さんとそのご家族へ

 

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、市中感染が進む地域もあります。また、院内感染が多くの病院で問題になっています。実際に院内感染が確認された医療機関で、酵素補充療法を受けている患者さんもおられます。このような状況下で、新型コロナウィルスに感染する危険性を考慮し、酵素補充療法の通院頻度を減らしたり、一時的に中断することを希望する患者さんもいらっしゃいます。

 ライソゾーム病の重症度には大きな多様性があります。酵素補充療法の通院頻度を少なくするあるいは一時的に中断した場合の影響は、個々の患者さんによって違いがあると考えられます。投与方法を変更する場合は、主治医の先生とよく相談し、あなたあるいはあなたのお子さんに適した投与方法を決めてください。また、投与方法を変更したことにより、症状が悪化した場合はすぐに主治医に申し出てください。また、この機会に在宅での酵素補充を検討したい方は、主治医と御相談ください。

 

(2)酵素補充療法を行っている主治医の先生へ

 

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、酵素補充療法のための通院頻度の変更を希望される患者さんやご家族がおられます。投与方法を変更する場合には、以下の原則を踏まえ、個々の病型、患者さんの状態を考慮し、患者さん・御家族の考えを尊重して、個別に治療方針を決定してください。

 

(原則)

1.酵素補充療法の投与間隔を延長することは治療効果を減弱することになり、原則的には推奨されない。しかし、緊急事態であることを考慮し、期間限定的に投与間隔を延長する(毎週投与の製剤を隔週投与にする、隔週投与の製剤を月1回投与に変更する)ことは症例によっては、許容できると考える。投与間隔を延長したことで臨床症状の悪化を認めた場合は、すみやかに元の投与方法にもどすことが望ましい。なお、投与間隔を延長した場合でも、1回の投与量を増量することは、予期せぬ副作用、投与関連反応が生じる可能性があるので推奨されない。

2.投与間隔の延長や一時的な中断が困難な症例で、院内感染の状況や通院に伴うリスクなどを考慮し、酵素補充療法を自施設で継続困難と判断した場合は、近隣の実施可能な医療機関に紹介するか、在宅での酵素補充療法を考慮することが望ましい。在宅で酵素補充療法を行う場合は、安全な酵素製剤の投与が長期的に確認されている患者を対象とし、投与関連反応等の緊急時の対応に万全を期すとともに、患者と家族に十分に説明し、同意を得る必要がある。